おいっ!けやぐ!
「けやぐ」
津軽弁で「友達」という意味。
人によっては「けらぐ」と発する。
青森ではよく使われる方言ですね。
私の感覚ではどちらかというと「少し仲の良い友達」のニュアンスで使います。
(すぐに連絡が取れ、何かしらお願いできる間柄くらい)
しかも本人へ「けやぐ、たのむじゃ(この仲なんだから、なんとかお願い)」的な使い方もします。
本人の目の前で使うことで「敵意はない・信頼している」ことを証明できる魔法のようなフレーズですね。
1つだけの注意として上司や目上の人には使わない方が平和に暮らせる確率が高いです。
この「けやぐ」のワードで一つ物語があるのでご紹介します。
弊社のデイをご利用いただいている男性のお客様のお話(個人情報に留意し掲載します)
自宅で夫婦で過ごしていたが、ご本人の認知症状が進み奥様が少しでも離れる時間を設けたい・・・とのことでデイサービス利用となっておりました。
利用初期の頃は落ち着きが無く、帰宅願望が強い。介護拒否もあり要介護認定が下りていました。
私自身も「なんとかお近づきになりたい」と考え、ご本人が好きなカラオケに着目することに。
どうやら、ある曲が大好きなことを発見。すぐに私もYouTubeで覚え、デイ利用時には一緒にデュエットをし少しでも楽しんで頂ければという思いで接していました。
そんなとある日・・・
デイ利用時のお出迎えで
「〇〇さん!おはようございます」
と声掛けしたら
「おぉぃっ!けやぐっ!どしてらば!」
(あらっ!元気だった?的な)
と、声をかけてくれたんです。
ここで介護職の方々なら気になること
「他の職員にもそうやって言ってるんじゃない?」
・・・鋭いっすね。さすがパイセン(先輩)
ハンパねぇ洞察力です。
しかし今回は違いました。残念。
なぜなら、
他の職員へ
「こいっ、覚えでるんだね!けやぐだね!」
(この人、覚えてる。友達だから)
と紹介していたからです。
まぁ、うれしい瞬間ですよね。良かった。やっていた取り組みが本人へ響いたことが何よりの幸せです。
私は医者でもないし認知症研究機関の研究員でもないので、一概に認知症高齢者の対応方法について「こうあるべきだ」は言えない立場であると理解しています。
但し、介護保険という制度を利用しながら運営しているデイサービス等については、もちろんのことながら症状の理解と、実務で出来る対応方法は身に着けておくべきだとは思います(否定しない、とか環境や時間を変えてみる、とか。そのくらいはみんな知ってるか)
もうシンプルに「こういう声掛け・介助方法にしたらお風呂に入ってくれたよ」程度。マウントは取らない。
カラオケが好き→数回一緒に歌った→顔を覚えてもらった→本人にとって「けやぐがいる」デイサービスになった→少なからず不安な気持ちは初期よりは減った・・・と仮定できるはず。
ご本人は、介助する人が代表だろうと会長だろうと関係なく(むしろ役職ついてるんだったらそこで対応力を発揮できればスタッフからの信頼も得れるよね)、現在は「けやぐ」なんです。
で、少しだけメリットが。
なんとなーくですが、なんとなくですよ・・・それ以降、私の言うことを少しだけ聞き入れてくれるような感覚が私にはありました。
これは毎週定期的にご利用されるにあたり、認知症の周辺症状が強く出た場合には現場の手間が減るんじゃないかと・・・考えています。
もちろん、うちのデイのスタッフも一生懸命対応してくれているから私の出番は未だないのですが。
介護のお仕事ってこういうことがあるのでやりがいがあると言えるような気がします。
でも私は・・・・
高齢になってもデイサービスには行きたくない派
です。
(強制的に連れて行かれるだろうな・・・)