まなこんブログ

思ったこと

 

 

 

 

 

 

長谷川です。

当社の「ひのきヘルパーセンター」では主に有料へ入居されている方へのヘルパー提供しています。

そして、今年から数件ですが「自宅で暮らしている方」へのヘルパー提供も行うようになりました。

 

 

 

 

 

その中の一人暮らしの男性の利用者さん。

Sさんとします。個人情報もあるので・・・あまり詳細は載せれませんが。

 

 

 

 

 

Sさんは、週1回の生活援助のみのサービス利用でしたが、なかなかこだわりが多い&頑固な方です。

利用開始時より、女性ヘルパー限定の希望あり、当社の女性スタッフのみで訪問しておりました。

当社の女性スタッフはすごく優秀なので(自慢)、色々と言われながらも「なんも大丈夫ですよ!」と滞りなく毎週サービス提供をしてくれていました。

(さすがに、女性スタッフ限定ではあるが不測の事態もあるので、私(男性)が訪問することもある、とのことで了解は頂いていた。1回だけ行きました)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ところが先日、訪問したヘルパーから

 

 

ベットで寝たきり状態になっている

 

 

と連絡が来ました。

 

 

 

 

 

 

当社でケアマネの担当もしていたのでまずはケアマネが訪問。

体を少しでも触ると「痛い!」と叫ぶ状態。

さすがにこれだと・・・ということで救急車を要請したそうです。が、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

救急隊が到着し、さぁ行くよ・・・となった時、Sさんは

 

「絶対、いかないっ!」

 

と。

 

 

 

 

 

 

救急隊の方々も「本人が行かないという意思なのであれば連れていけない」

救急隊も引き上げ、ケアマネも困り果て、私に連絡。

私も急いで駆け付けました。

 

 

 

 

 

 

幸いにも私も事前に顔合わせしていたので、「おぉ、久しぶりだな」ぐらいの反応。失禁状態で部屋は異臭がし、ベットが茶色く汚れているのが目につきました。

 

 

 

私からの「このままだと、一人で生活できないよ。病院に行って治療必要だよ」という説得は聞くはずもなく、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうやってお前たちはだまそうとしている!もう帰ってくれ!」

 

 

 

 

 

 

一旦は引き上げよう、と決めその日は帰宅。

 

 

しかし、

・ベット上から動けない

・介助を拒否している

・失禁状態

・食べ物、飲み物は自力で摂取できない

・手も動かないので携帯で通話もできない

・入浴、着替えも出来ない

・治療はしたくない、薬も飲まない

・キーパーソンがいない

・これから寒くなる。

 

 

以上の状態であり、本人の意向は頑なに治療はしない、病院へも行きたくない。

帰宅後、ケアマネ・施設で話し合い、毎日ヘルパーで訪問することに決めました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから自宅へ交替で毎日訪問。1日3回訪問することも。

 

その間、当社のケアマネ・サ責が二人で、(ちょっとだけ強引に)自宅の風呂場で入浴介助したり、ベットマット交換したり、施設からふとんを持って行ったり、オムツに変えたり、本人の欲しい物を買って来たり・・・。

まずは衛生面でのお手伝いをさせて頂きました。

 

 

 

自宅で亡くなった時のことも考え、ケアマネが訪問診療も手配しておいてくれました。先生へも本人から「治療はしないっ」と。

私もほぼ毎朝、自宅へ訪問しオムツ交換や水分補給、洗顔などで状態を見守りながら、市や包括支援センターへも事情を説明。

こちらでも何か起きた際の体制づくりを始めました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

動けなくなってから4~5日経過。ダメ元で

 

「うちでアパート経営(施設と言えば怒ると思って)してて1室空いている。特別に招待で無料で入れるけどどう?」

 

って聞いてみました。

 

 

 

 

 

 

そしたら表情が変わり、「何畳だ?」や「お前たちもいるのか?」「それもいいな」と前向きな発言。

(おそらく、このままだと無理・・・と自分でも考えていたのでしょう)

 

 

私も「今すぐにってわけではないけど、考えてもいいんじゃない?このままだと大変だよ」

 

 

と訪問を終えました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、他のヘルパーさんが訪問した際、

 

「アパート(有料ホーム)へいつ行くんだ?」

 

「いつになったら行くんだ?引っ越ししたいって、社長に言っておいて」

 

など気持ちにわずかな変化が。

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、寝たきりになってから7日~10日間は水分のみの摂取。「腹は減らないから食べたくない」というものの体は徐々に弱り、水分補給時もムセがみられる。

呼吸も荒くなり、幻視もあるようでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、10/28、私がヘルパー訪問したのですが、意識はしっかりしているものの「これは・・・ちょっとヤバいかも」という状態。施設へ戻り、一時的に部屋を工面し、急に管理者たちへ声をかけ(スミマセン)、

 

 

「今日、迎えに行こう!」

 

 

管理者やケアマネも同意して頂き出発。

 

 

 

 

 

 

 

体の痛みがあり、叫ばれながらもベットから二人がかりで車いすへ移乗。アパートから出る際の介護者殺しの数段ある階段も、男手で車いすごと持ち上げ車へ。

リフト車へやっとこさ乗せたものの、長時間、仰臥位でいたため血圧の変動?で移動中、意識を失いそうになるも激声がけでなんとか当施設へ到着。

 

 

 

ベットへたどり着いた瞬間、

 

「ここだとあったかいし、来れて良かったね」

 

と聞くと

 

 

「うん」

 

 

と笑顔でうなづいたのがとても印象的でした。

 

 

「ここに居れば職員いっぱいいるから、一日何回でも来るよ」と伝え、本人は少し安心したように感じました。

 

 

 

 

 

 

 

 

施設に入ったものの本人の意思である「治療はしない」を優先させ、主治医へも説明し無理に点滴や服薬は行いませんでした。

水分補給や喫煙、少量のお酒。できるだけ自宅にいたときと同じように、したいことを優先し対応。

しかし、徐々に返答もあいまい、元気がなくなっているのは顕著でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日の夕方、ご本人はお亡くなりになりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

身よりもいないため、私が喪主になり11/2、火葬を終え、お墓へ行きました。

 

 

 

 

 

 

 

 

激動の2週間でしたが、妙な達成感と寂しさが襲ってきています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後に・・・

私たちの「介護」という仕事の基本は、「困っている人を助ける」ことだと個人的に思います。

入浴できない、買い物できない、病院へ行けない等・・・。困っているところに手を差し伸べることで、条件を満たせば国から報酬が得れます。それで事業としても成り立っています。

中には必要でありながらも報酬対象にならない活動もあります。今は、それについてどうこう言うつもりはありません。

 

 

しかし、やらない理由が「報酬にならないから」という考えには至らず・・・。

 

恐らく今回のケースだと「診断書がない」「本人が拒否している」「保証人がいない」「死後どうするんだ」「喪主はどうするんだ」で施設等へ受け入れ出来ない、という考えに至るのも非常にわかります。

 

「責任は誰が取るんだ」

 

そんなちっちゃいこと、どうにでもなります。現に色々なお力を借りながらどうにかなってる。別に借金を肩代わりしたわけでもない。命の危機迫っている事ならば急がなくてはならない(民間の企業だからできるんでしょ?は愚問です。そういう話ではないので)

 

たいしたことない責任すら負いたくないなら・・・少なからず、介護の業界では上の立場にならない方がいいっす。その下で介護に想いがあって働くスタッフがただ迷惑です。

 

それならば今、出来ることを(限界はあります)最大限にやった方が、「やりがい」なんて無責任なことは言わないけど、この事業に携わっている意味を見出せるんじゃないかなぁ・・・なんて身の丈に合わない発言&たまにはカッコいいことを言ってみたりしてみます。

 

 

 

 

いずれにせよ、全然報酬にならなかったけど、それ以上にこういう活動には別の意味を感じてしまう長谷川でした。

 

 

 

 

 

 

 

最後にスタッフの方々、急な対応・入居、ご理解いただきありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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